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東京地方裁判所 昭和32年(ワ)7062号 判決

原告

日東証券株式会社

被告

西野千代治

主文

被告は原告に対し金九拾壱万五千七百参拾六円並に之に対する昭和三十二年九月十二日以降其の完済に至る迄年五分の割合に依る金員を支払ふべし。

訴訟費用は被告の負担とする。

此の判決は仮に之を執行することができる。

事実及び理由

原告は主文第一、二項同旨の判決、並に仮執行の宣言を求め、請求の原因として、原告は東京証券取引所の正会員で、有価証券の売買、其の媒介、取次又は代理を業とするもの、被告は昭和二十九年九月二十一日より昭和三十年九月十五日迄其の取締役営業部長として在任したものであるが、被告は其の在任中原告に於いて根崎四郎より預託を受け保管中に係る日本水産株式会社の株券三千株及びいすゞ自動車株式会社の株式三千株を昭和三十年三月十八日擅に売却し其の代金を横領し又片山政吉より横浜精糖株式会社の株式三千株買付委託金として同年八月三十日受領した金四拾七万壱千四百弐拾円を其の頃同様横領した。依つて原告は同年十月一日根崎四郎に対し株券の時価相当金の一部金四拾四万四千参百拾六円を賠償し、又同年十一月九日片山政吉に対しては受領した金四拾七万六千四百弐拾円を返済し示談を遂げ、損害を蒙つたので、本訴に於いて被告より損害合計金九拾壱万五千七百参拾六円並に之に対する被告に本訴状の送達せられた日の翌日以降其の完済に至る迄年五分の割合に依る損害金の支払を求めると陳述した。

被告は原告の請求を棄却するとの判決を求め、原告主張の事実は総て認めると述べた。

原告主張の事実にして当事者間に争のない以上、被告は原告に対し金九拾壱万五千七百参拾六円並に之に対する本訴状副本が被告に送達せられた日の翌日であること顕著な昭和三十二年九月十二日以降其の完済に至る迄年五分の割合に依る損害金を支払はねばならぬこと明かである。依つて本訴請求は之を正当として認容し、訴訟費用の負担に付き民事訴訟法第八十九条、仮執行の宣言に付き同法第百九十六条第一項第三項を適用し、主文の通り判決することにした。

(裁判官 藤井經雄)

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